先日の話し合いで紹介した『負けない技術』について、改めてメモを残しておきます。
著者は桜井章一氏。彼は裏麻雀といわれる「代打ち」で20年間闘ってきた人である。代打ちの勝負に敗れるとどうなるのか知らないが、きっと素人は知らない方が良いのだろう。濃密な経験の中で培った「技術」について本書で紹介されている。その中から幾つか取りだして、自分勝手にまとめてみました。
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「負けない」ことは生物にとって生き延びる本能であるといえるが、「勝つ」ことは相手を倒す欲であって、その欲に落とし穴があるのではないか?
「負けない」ことと「勝つ」ことは異なる。
まずビキナーズラックとは初心者だけが得られる幸運ではない。初心者の挑む姿勢にこそ秘密がある。成功を収める初心者の多くは直感で動いている。それは玄人が自らの豊富な経験値を活かして勝とうとする態度と反対である。玄人は経験や考えに囚われて、問題を難しくすることになる。そうではなく、全身全霊で対象に挑むという「シンプルさ」が大事であろう。初心であれ。
次に不得意科目へ手を出せ。得意科目だけを伸ばすのは不自然であろう。なぜなら生物の生存には様々な能力が必要だ。図工だけが出来ても、それでは偏っている。数学、国語、英語、歴史、道徳、保健、体育を取り組む上で、図工があるべきだ。得意科目しか学ばないのは「専門家」の誕生になる。
そして専門家は物事を分化し難しくさせる。結果、専門家にしか伝わらない内容に偏向してしまう。しかも専門家は得意なことでしか勝負をしなくなる。やがて勝つことが目的になる。しかし勝負とは全能力をフル動員するような緊迫した時間である。そのような時間を過ごすのであれば、シンプルに全身全霊で挑むべきではないか。そのためには一つに囚われず、様々な領域から取りかかる「万能家」を目指せ。偉大な仕事をした人は分野に囚われていない。
一つのことしかやらない専門家は問題を難しくさせ、シンプルさを遠ざける。自然で生きることとは、一つのことさえやればいいという訳ではない。全身全霊で取りかかるには、いろいろやらないといけない。著者は勝負の目的とは「充実」であると述べている。相手を叩きのめすことではなく、相手と自分が全能力を傾けて過ごすのであれば、充実さを目的としても良いのではないか。そして、良く充実できるのであれば、その勝負は負けない。
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桜井章一『負けない技術―20年間無敗、伝説の雀鬼の「逆境突破力」』
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